かふかふかふか

三五 所有というものはない。あるのは存在だけだ、最後の息を、いや、窒息を求めている存在だけだ。

三六 以前わたしは、なぜわたしが自分の質問に返答を得られないのかが、わからなかった。今日はわたしは、どうして自分が質問できるなどと信じられたのか、それがわからない。もっともしかし、わたしは信じたりしていたわけではぜんぜんない、ただ質問しただけだった。

三七 あなたは、所有しているかもしれないが、存在していない、という主張に対して、彼のなし得た返答は、ただ身体をふるわせ、胸をドキドキさせることだった。

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カフカ「罪・苦悩・希望・ほんとうの道についての考察」より
(辻ひかる編訳『カフカ 実存と人生』《新装復刊》白水社、1996)